生の舞台に拘る理由(再掲)

この記事は2020年11月10日に投稿したnoteの記事を載せ直したものです。(https://note.com/monol0gue/n/n63a48ed1f69d)

 

 

 

最近、映画の良さを再認識して頻繁に観に行くようになりました。観に行ったどの作品も本当に素晴らしくて、映画館で大号泣しました。

しかし、これらの映画を観るたびに生の舞台と映画の違いをひしひしと感じます。2つを比べてどっちの方が優れている!と言いたいわけではなくて、どんな風に違って、どうして自分は生の舞台がこれほどまでに大好きなのか、少し考えてみたかったのです。そして考え、書き始めてみたら、なんだかツイートするには長く、はてブにするには内容が真面目になってしまったので、初noteに挑戦してみました。

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが、この記事で私が一貫して考えるテーマは、『映画は「映像作品」であり、生の舞台は「空間の共有」である』ということです。

 

映画は豪華なセットやCG、国内外にわたるロケ地、大量のエキストラを使っても不自然にならないようにシーン毎にカットをかけられます。でも、生の舞台では場面転換さえも自然でないと観客の感情が途切れてしまうから、それほどセットの変化は多くないし、時間もかけられない。だから、「映像作品」として考えたときに映画のクオリティの方が高くなるのは必然だと思います。そして私が、舞台をそのまま映像作品という形にした生配信にそれほど大きな魅力を感じない(これは私だけかもしれない)(と言いながら配信見てますが)のはこれが一つの要因なのかな、と最近感じています。劇団四季の『オペラ座の怪人』も、映画を最初に観た人からは「演出がショボい」と言われることがあると聞いて、先日観に行ってシャンデリアや地下の湖の演出に感動した私はめちゃんこ驚きました。今度映画版観てみます。

 

では、映像作品としての映画のクオリティの高さを知った上で、どうして自分は生の舞台がこんなにも大好きなんだろう、と考えたときに、もちろん生だからこそ伝わる演者さんたちのパワーは大きな理由の一つではあるのですが、それよりもっと大きい理由は「会場の一体感」なんじゃないかという結論に至りました。

 

私にとって映画は、良くも悪くも作り手と受け手が独立しているイメージがあります。作り手は映画を作り上げた時点で、観客の反応がどうであれ、何も変えることはできないし、観客側も、作り手に伝わることはないため、上映後に観客から拍手が起こることはない。さらにはエンドロールを最後まで見ずに帰る方も少なくないです。当たり前のことではあるのですが、私はこの関係性にほんの少し寂しさを感じます。しかし、この形だからこそ、監督さんや脚本家さんたちの表現したい世界を、世論に左右されることなく表現できるという大きなメリットがあるとも思っています。

 

でも生の舞台は、スタンディングオベーション、ブラボーの声、アドリブにふと起こる笑い声、時にはショーストップが起こるほどの拍手……と、とにかく観客の反応がダイレクトに伝わる手段がとても多いと感じます。さらには、公演期間中に微妙に演出が変わることもあります。これらのことって、作り手と受け手が同じ時間を共有している「生」の状態だからこそ起こることで、すごく特別なものだと思うし、目の前の演者さんや作品に直接的に関わっている気持ちになるので、私は「生の舞台」が心から大好きで、これが「生の舞台」に拘る理由なのだと思いました。もちろん映画も好きなので、ぜひ皆さんのおすすめの映画を教えてください!^^

 

と、ここまでがタイトル通り、『私が「生の舞台」に拘る理由』でした。ここからは少し話は逸れますが、コロナ禍での私の舞台に関する価値観のお話をしようと思います。

帝劇コン(THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE)のトークコーナーで花總まりさんが仰っていた「舞台は、登場人物それぞれに作品内でのドラマがあって、それを演じる私たちにもドラマがあって、さらに観に来るお客様にもそれぞれドラマがあって、それらが全て合わさってできる凄いエネルギーによって、素晴らしい作品が生まれる」(⚠️記憶を基にしたニュアンスです)という発言が、まさに私の思う生の舞台の魅力を表していると感じ、聞いているときには涙が溢れました。

 

まだまだ間隔を開けた席以外にも空席が目立つ劇場を見ると、心が痛むと同時に、この素晴らしい演劇・ミュージカルの文化を絶やしてはいけないと強く思います。もちろん、昨今のコロナの情勢によって劇場に行くことができない人もいるし、行かない選択をする人もいて、行くことだけが正しいわけではないことは分かっています。でも、私はあくまでも自分が健康であるならば、出来る限り劇場に足を運ぼうと思うのです。という私の価値観のお話でした。そんな私は今日帝国劇場へ『ビューティフル』を観に行ってきます!おしまい!